「家賃が上がっているのは都心だけ」と思っていませんか?むしろ逆でした。
HOME'Sマーケットレポートの月次データを使って分析したところ、東京23区でいま一番家賃が高騰しているのは、足立・葛飾・板橋・江戸川など 「23区その他17区(=都心6区を除く区)」 でした。直近1年の前年同月比で見ると、その差は歴然です。
23区その他の上昇率は、都心6区を +11.1ポイント 上回っています。これは何を意味するのか、データを掘り下げていきます。
絶対額では都心6区のほうが依然として高い(差額:月32,470円)ですが、上昇率では周辺17区のほうが追い上げ局面に入っています。
5年前は「都心6区>>23区その他」だった構図が、いまや「都心6区 > 23区その他」に縮まりつつあります。
都心6区の単身向け平均賃料は162,591円。これは平均年収400万円の単身者にとっては手取りの30%以上を住居費で持っていかれる水準です。「都心は無理」と判断した若年層・単身者が周辺区に流入し、需要が押し上げられています。
2020年以降のリモートワーク普及で、毎日通勤しなくてもよい層が増えました。「電車で30分以内なら多少遠くてOK」という条件で物件を探すと、周辺17区が選択肢に上がります。これが慢性的な需要を生んでいます。
23区の新築マンション平均価格は1億円超え。この物件オーナーが家賃を高めに設定するため、周辺区の新築物件も「都心並みの賃料」で募集される事例が増加。中古物件の相場まで引き上げられています。
円安により海外投資家にとって東京の不動産は「割安」に映ります。投資物件として購入された物件は賃料を最大化する形で運用されるため、周辺区にも価格上昇圧力がかかります。
従来の常識「都心は高い、周辺は安い」はもう成り立ちません。具体的な区ごとの相場や、駅・徒歩分数まで含めた条件比較が必要です。
都下の前年同月比も上昇しており、「23区が無理なら多摩」という選択肢も賃料が伸び始めています。
2020〜2022年のような下落局面は、コロナという特殊事情があってのこと。直近2年は下落の兆しが見えず、待つほど高くなる可能性が高い状況です。
HOME'Sのマーケットレポートでは、23区を「都心6区」と「23区その他17区」の2階層で集計しています。千代田区・港区・足立区などの個別データは公開されていないため、本記事も17区を1グループとして扱っています。
個別エリアのデータが必要な場合は、SUUMOやアットホームの「エリアレポート」、または東京都の住宅統計を併用することをおすすめします。