結論:AIが書いた公開済み15記事を、AI自身に事実検証させたら12箇所の誤りが見つかりました。一番怖かったのは、間違った数字に「もっともらしい解説文」までセットで付いていたこと。対策は、書いたAIに根拠(ファイル名・行番号)を記録させることでした。
- 検証したのは公開済みの15記事(2026年5月14日実施)
- 見つかった事実誤認:12箇所
- 最恐の例:嘘の数字に合わせて「たった0.2倍の差なのに」という解説まで生成されていた
- 再調査にかかった時間:まる1セッション分(根拠メモがあれば数分だった)
この記事は、AIでブログやSNS、資料を書いて公開している非エンジニア向けです。記事39「AIの間違い(ハルシネーション)に非エンジニアが気づく3つの方法」の実践編にあたります。
AIが書いた記事って、そんなに間違ってるの?読んでて違和感なかったけど…
違和感が出ないんです。それが一番の問題でした。 嘘の数字にも、自然な文章が付くからです。
誰向けの記事か
これ、誰が読むといいの?
AIに書かせた文章を、そのまま公開している人です。「読み返してるから大丈夫」と思っている人ほど効きます。過去の私たちのことです。
- AIにブログ・SNS・資料を書かせて公開している非エンジニア
- 「公開前に読み返しているから大丈夫」と思っている人
- AIの間違いをどう見つければいいか、具体的な方法を知りたい人
何をやったか:全記事をAI自身に事実チェックさせた
2026年5月14日、公開済みの15記事を対象に、書いた本人であるClaudeに事実検証を頼みました。
頼み方はこうです。
「全記事の数字・機能名・固有名詞を、実物(コード・git履歴・元データ)と突き合わせて。記事を読むだけの確認は禁止」
結果、12箇所の事実誤認が見つかりました。
見つかった誤りの実例4つ
| 記事 | 書いてあったこと | 実物(検証時点) |
|---|---|---|
| ゲーム制作記 | 敵の強さ「HP 2.0倍・攻撃力2.2倍」 | コードは「HP 3.0倍・攻撃力1.2倍」 |
| 自動化ツール記 | 「Pythonの標準機能で整理」 | 実際はBashコマンドだった |
| 解説記事 | 「Claude Codeに標準搭載」 | 標準搭載ではなかった |
| 作業実録 | 「画像1,300枚・約7,800タイル」 | 実際は1,387枚・約8,322タイル |
12箇所はすべて、この検証の場で修正済みです。
一番怖かった誤り:「嘘に合わせた、上手な解説」
ゲーム記事の誤りには、続きがありました。
記事には、こう書いてありました。
HP 2.0倍、攻撃力 2.2倍 に調整。これで歯ごたえが出ました。たった0.2倍の差なのに、体感はかなり変わります。
数字が間違っていただけではありません。
間違った数字(2.0と2.2)に合わせて、「たった0.2倍の差なのに」という気の利いた解説文まで生成されていたのです。
⚠️ 読み返しても見つからない理由
文章としては完璧に自然だからです。数字も解説も、文中では辻褄が合っている。合っていないのは「現実」とだけ。だから検証は「文章を読む」作業ではなく、「実物と突き合わせる」作業になります。
なぜ起きるのか:AIは「思い出さず」に「生成する」
AIは記事を書くとき、毎回コードの実物を見直しているとは限りません。
会話の流れから「それらしい値」を生成することがあります。
- 8割合っている近似値が、断定形で出てくる
- 人間なら「たしか2倍くらい」とぼかす場面で、AIは「2.0倍」と書き切る
- 正しい数字も間違った数字も、同じ堂々とした文体で出てくる
📌 「自信満々」は正確さの証拠にならない
AIの文章に「自信がなさそうな顔」はありません。文体から間違いを見抜くことは、あきらめたほうが早いです。
どう見つけたか:「合ってる?」ではなく「根拠を出して」
検証で効いた頼み方は、1つだけでした。
「この数字の根拠を、ファイル名と行番号つきで出して」
- 「この記事、合ってる?」と聞く → 「概ね正確です」と返ってきがち
- 「根拠を出して」と聞く → 根拠が出ない箇所が、そのまま怪しい箇所
非エンジニアでも、これならできます。
出てきたコードを自分で読める必要はありません。「根拠がすぐ出せない」という反応自体が、アラートになるからです。
再発防止:「根拠メモ」を書かせる運用
実は、修正より大変だったのは再調査でした。
執筆時に根拠を記録していなかったので、12箇所を確定させるのにまる1セッション分かかりました。
今は運用を変えています。
- 記事を書いたら、その場で「根拠メモ」に数字と根拠(ファイル名・行番号)を記録させる
- 手間は1記事あたり数分
- 次の検証は「メモと突き合わせるだけ」になる
💡 根拠は「書いた直後」が一番安い
書いた直後なら、根拠はAIの手元に全部そろっています。1ヶ月後に探すと、何倍もの時間がかかります。「書く」と「根拠を残す」をセットにするのが一番安上がりでした。
学んだ3つのこと
で、結局何が教訓だったの?
「それらしさ」はAIの最大の武器で、最大の罠 ——これが本質です。残り2つは下のまとめをどうぞ。
✅ 12箇所の誤りから学んだ3つのこと
- 「それらしさ」は武器で、罠 — 嘘の数字にも自然な解説文が付く。違和感では見つからない
- 検証は「読み返し」ではなく「突き合わせ」 — 聞き方は「合ってる?」ではなく「根拠を出して」
- 根拠は書いた直後に記録させる — 後から探すと1セッション分、直後なら数分
今後
新しい記事は、執筆と同時に「根拠メモ」へ根拠を記録する運用にしています(前回の記事44から実施中)。
公開済みの全記事も、折を見てまた検証を回すつもりです。
最後に:自分の思い
「12箇所」と聞いたとき、正直ショックでした。自分のブログなのに、です。
でも考えてみれば、人間が書くブログにも間違いはあります。AIとの違いは1つだけ。AIは「自信がない」という顔をしないことです。
だったら、顔色を読むのはあきらめて、仕組みで補う。AIと発信を続けるなら、「書く速さ」より「確かめる仕組み」のほうが、ずっと大事でした。
伝えたいことは1つだけ。
AIに書かせたら、書いたAIに根拠を出させてください。聞き方は「合ってる?」ではなく「この数字の根拠を、ファイル名つきで見せて」。これだけで、公開前に大半の嘘を捕まえられます。
関連記事:記事39「AIの間違い(ハルシネーション)に非エンジニアが気づく3つの方法」・記事35「1ヶ月でAIと34記事書いて分かった、AIライティングの限界3つ」・記事44「ClaudeがNOと言った日」 と合わせて読むと、「AIの出力をどこまで信じるか」の全体像が見えます。
この記事も Claude Code に書いてもらいました。「結論先行・一文60文字以内・数字を使う・誰向けか明確・自分の思いで締める」の5点を意識した版です。そして本文の数字は、git履歴と突き合わせ済みです。
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